「女生徒」太宰治 其の参

今日は被写体についてです。実はこの「女生徒」を撮影したのは十年以上も前です。そして被写体の彼女は実際に女子高生でした。彼女と初めて会った時、表情は冷淡なのですがその中に優しさを感じ、自分自身が高校生の頃に読んだ太宰治の「女生徒」を思い出しました。そんな彼女に惹かれ直ぐに撮影をお願いしようと決めました。

撮影当日は空がどこまでも高く青い、穏やかな1日でした。彼女の冷たさと優しさの入り混じった表情を追いかけながら撮影した時間はとても幸せな気分だったことを覚えています。

何故、古い写真を今回の題材に選んだのかというとポジフィルムを整理していた時にこの写真を見つけてあの時の気持ちが一気に甦りました。そして十年以上も経っているのにあの時に戻れる写真の力に感動したからです。

彼女が写っているポジフィルムを目で追いかけながら写真を撮ることが職業にできたことに感謝しました。